この記事の要点
猫は被毛に覆われているため、人のように顔色で体調を判断できません。そこで役に立つのが、粘膜がむき出しになっている歯茎です。歯茎の色は血液の状態と血の巡りをそのまま反映するため、貧血・酸素不足・黄疸・脱水といった全身の変化が、比較的早い段階で現れます。
動物病院でも、診察の最初に獣医師が口を開けて歯茎を見るのはこのためです。家庭で同じ観察を習慣にしておけば、「いつもの色」を知っている飼い主にしか気づけない変化を拾えます。
| 色 | 考えられる状態 | 対応 |
|---|---|---|
| 薄いピンク | 正常 | そのまま観察を継続 |
| 白っぽい・青白い | 貧血、出血、ショックの可能性 | 当日中に受診 |
| 青紫・灰色がかる | 酸素が十分に行き渡っていない可能性 | 直ちに受診(呼吸も確認) |
| 黄色い | 黄疸(肝臓・胆道・赤血球の問題)の可能性 | 当日中に受診 |
| 濃い赤・境目が赤い線 | 歯肉炎、歯周病、発熱の可能性 | 数日以内に受診 |
| 黒い斑点 | 色素沈着(多くは正常) | 急に増えていなければ経過観察 |
黒い斑点については補足が必要です。特に赤毛やべっ甲柄の猫では、加齢とともに歯茎や唇に黒い色素斑が出ることがあり、多くは正常な変化です。ただし短期間で数が増える、盛り上がってくる場合は別の可能性があるため、写真で比較しながら獣医師に相談してください。
色と合わせて確認したいのが、血の巡りの速さです。手順は次のとおりです。
2 秒以内に戻れば正常とされます。3 秒以上かかる場合は、脱水や循環の低下が起きている可能性があり、受診の目安になります。逆に一瞬で戻りすぎる(1 秒未満で真っ赤に戻る)場合も、発熱や炎症のサインのことがあります。
力加減は「自分の指の爪を押して白くなる程度」で十分です。強く押すと猫が嫌がり、次回から口を触らせてくれなくなります。
口を触られるのが苦手な猫は少なくありません。1 週間かけて段階的に進めます。
各ステップの後には必ずおやつを添え、猫が逃げようとしたらその日は終了します。1 日 1 回、10 秒で終わる作業として定着させるのがコツです。歯みがきに進みたい場合も、この「口を触らせてもらう」段階が土台になります。
他の観察項目とまとめて行うなら、猫の健康チェック|毎日30秒の5か所のルーティンに歯茎を組み込むのが効率的です。
どうしても口を触らせてくれない猫もいます。その場合は、粘膜が露出している別の場所で代用できます。
いずれも「その子のいつも」を知っていることが前提になります。元気なうちに一度確認し、写真を残しておいてください。
あわてて病院に駆け込む前に、30 秒だけ次を確認してください。診察の精度が上がります。
ただし、歯茎が青紫・灰色で呼吸が速い場合は、確認作業をせずに直ちに動物病院へ連絡してください。酸素が足りていない状態は分単位で悪化しうるためです。
歯茎の境目が赤い線になっている場合は、歯周トラブルが進んでいる可能性があります。処置の内容と費用は猫の歯石除去・抜歯の費用はいくらにまとめました。全身麻酔を伴う処置は数万円規模になり、急な受診が重なると負担が読みにくくなります。備え方のひとつとしてペット保険「うちの子」の詳細を公式ページで確認することもできます。
おすすめしません。猫は貧血が進んでも、動きを減らすことで見かけ上は普段どおりに振る舞うことがあります。歯茎が明らかに白い、あるいはいつもより白いと感じた時点で、当日中の受診をご検討ください。
基本は同じ薄いピンクですが、子猫のほうがやや鮮やかに見える傾向があります。大切なのは絶対的な色より「その子のいつもの色」との比較です。健康なうちに写真を 1 枚残しておくと、後から比べられます。
1 回だけの測定で判断せず、5 分ほど空けてもう一度測ってください。押す力が強すぎた、猫が緊張していたといった理由で長く出ることがあります。2 回続けて 3 秒以上で、かつ食欲低下やぐったりした様子を伴う場合は、当日中の受診をおすすめします。
本記事は一般的な情報提供を目的としたものであり、診断・治療の判断に代わるものではありません。気になる症状がある場合は、自己判断せず動物病院で獣医師の診察を受けてください。掲載している費用は参考レンジであり、実際の金額は動物病院・地域・重症度・検査内容によって大きく変動します。
監修:Withねこ合同会社(第一アイペット損害保険代理店)