Withねこ ブログ

猫の発熱|熱っぽいときの治療費

作成者: |2026/09/03 2:24

この記事の要点

  • 猫の平熱はおおむね 38.0〜39.2℃。39.5℃ を超えたら発熱を疑い、40.0℃ 以上、または 37.5℃ 未満は当日受診の目安になります。
  • 費用の目安は、初診+触診+経過観察で 8,000〜15,000 円、血液検査+レントゲン+皮下点滴まで進むと 30,000〜60,000 円、精密検査+入院になると 100,000〜200,000 円。
  • 耳や肉球が熱い、鼻が乾いている ― これらは体温計の代わりになりません。判断は必ず実測した数値で行ってください。

「なんだか耳が熱い気がする」「いつもより丸まってじっとしている」。猫の発熱は、こうしたぼんやりした違和感から気づかれることがほとんどです。犬のように荒い呼吸で分かりやすく示してくれるわけでもなく、そもそも猫は体調の悪さを隠す動物です。この記事では、家庭で「熱があるかどうか」を判断する手順と、受診したときに実際にかかる費用のレンジを整理します。

猫の「熱がある」とはどの状態か

猫の平熱は人よりも高く、38.0〜39.2℃ 程度が一般的な範囲とされています。人の感覚で「38℃ もある」と考えると誤解につながるため、まずこの数字を基準として押さえておいてください。

体温は一日のなかでも動きます。目安として次のような変動があります。

  • 日内変動:早朝はやや低く、夕方から夜にかけて高くなる傾向があります。0.3〜0.5℃ 程度の差は正常範囲です
  • 興奮・運動後:走り回った直後や、動物病院で緊張しているときは 0.5〜1.0℃ ほど上がることがあります。診察室で 39.5℃ が出ても、それだけでは発熱と判断できません
  • 環境温度:真夏の締め切った部屋など、外的な要因で体温が上がっている場合は、発熱ではなくうつ熱(熱中症の方向)として別に考える必要があります

これらを踏まえた実務的な線引きは、安静時に測って 39.5℃ を超えていたら発熱を疑う、というものです。逆に 37.5℃ を下回る低体温は、発熱より緊急度が高いサインとして扱われます。ぐったりしていて体が冷たい場合は、様子を見ずに連絡してください。

家庭で確認する手順と、あてにならないサイン

最初に、よく言われるけれど判断材料にならないものを挙げておきます。

  • 耳が熱い:耳は放熱器官なので、室温や直前の行動で簡単に温度が変わります
  • 肉球が熱い:同じ理由で不安定です。逆に「冷たいから熱はない」とも言えません
  • 鼻が乾いている:睡眠中や乾燥した室内では健康な猫でも乾きます

実測の方法は主に 2 つです。

  1. ペット用の耳式体温計:1〜2 秒で測れ、猫の負担が最も小さい方法です。耳道の角度で数値がぶれるため、同じ耳・同じ挿し方で 2 回測り、高いほうを採用すると安定します
  2. 直腸温(動物用電子体温計):最も正確ですが、嫌がる猫が多く、無理をすると粘膜を傷つけるおそれがあります。1 人が体を支え、もう 1 人が測る二人体制が安全です

いずれの方法でも、元気なうちに一度測って「その子の平熱」を知っておくことが最大のポイントです。平熱 38.2℃ の猫と 38.9℃ の猫では、39.4℃ の意味がまったく違います。測り方の詳しい手順は 猫の平熱は何度?体温の測り方と手順 にまとめています。

発熱に伴って見るべき5つの変化

体温の数値そのものより、他の変化とセットで見るほうが緊急度を正しく判断できます。次の 5 点を確認してください。

  • 食欲:丸 1 日食べていないか。猫は絶食が続くと肝臓に負担がかかることが知られています
  • 水を飲んでいるか:発熱時は脱水が進みやすく、飲水量の低下は緊急度を上げます
  • 呼吸:安静時に 1 分間 40 回を超える、口を開けて呼吸している場合は最優先です
  • 姿勢と反応:呼びかけへの反応が薄い、うずくまって動かない
  • 隠れた外傷:他の猫とのケンカによる咬傷は、数日後に腫れと熱を伴うことがあります。首・肩・尻尾の付け根を触って確認します

受診の目安は次のように整理できます。

  • 今すぐ(夜間救急も検討):40.5℃ 以上、または 37.5℃ 未満/呼吸が速い・開口呼吸/けいれん/反応が乏しい
  • 24 時間以内:39.5〜40.5℃ が続く/食べない・飲まない/嘔吐や下痢を伴う
  • 数日以内:39.5℃ 前後だが食欲・元気はある。ただし翌診療日には受診してください

「元気がない」状態全般の見極めについては 猫がぐったりして動かない — 受診の目安と治療費 もあわせてご覧ください。

動物病院で行われること

発熱は病名ではなく、体のどこかで炎症・感染・免疫反応などが起きている結果として現れるサインです。そのため診察では「どこが原因か」を絞り込む流れになります。

  • 身体検査:体温の再測定、リンパ節の腫れ、口腔内、皮膚の傷、腹部の触診
  • 血液検査:白血球数・炎症マーカー、肝腎の数値。感染性かどうかの方向づけに使われます
  • レントゲン・エコー:胸部・腹部に炎症や腫れがないかを確認します
  • ウイルス検査:必要に応じて実施されます
  • 尿検査:泌尿器由来の炎症が疑われる場合に行われます

治療は原因によって変わります。軽度であれば消炎剤の処方と経過観察で済むこともあり、脱水が進んでいれば皮下点滴、食べられない状態が続けば入院での管理が検討されます。原因が特定できないまま解熱だけを行うことは避けられるのが一般的です。

治療費の目安 ― 段階別のレンジ

発熱は原因の幅が広いため、費用は「どこまで検査が進むか」でほぼ決まります。以下は Withねこが症状カテゴリ別に整理した参考レンジです(発熱時に多く見られる「ぐったり・元気がない」カテゴリの数値を用いています)。

段階主な内容目安レンジよくある金額帯
初期初診料 + 触診 + 経過観察5,000〜20,000 円8,000〜15,000 円
精査血液検査 + レントゲン + 皮下点滴20,000〜80,000 円30,000〜60,000 円
入院治療エコー + 精密検査 + 入院60,000〜300,000 円100,000〜200,000 円
集中治療救急入院 + 集中管理150,000〜600,000 円250,000〜400,000 円

発熱に呼吸器の症状が重なっている場合は、レントゲン+血液検査+ネブライザーを含む管理で 20,000〜80,000 円(よくある金額帯は 30,000〜60,000 円)が目安になります。酸素室での入院が必要になると 150,000〜280,000 円の帯に移ります。

出典:日本獣医師会「家庭飼育動物(犬・猫)の診療料金実態調査」および PETPETLIFE 治療費データをもとに、Withねこが症状カテゴリ別に整理した参考レンジです。金額は動物病院・地域・重症度・検査内容によって大きく変動します。

発熱で費用が読みにくいのは、「1 回で終わるか、原因究明が続くか」が受診時点では分からないためです。1 回の受診で 1 万円前後に収まることもあれば、原因が絞れずに検査を重ねて数万円になることもあります。備えを検討するなら ペット保険「うちの子」の詳細を見る と、補償の範囲を実際の商品ページで確認できます。

熱が出たときに家庭でやってよいこと・いけないこと

受診までの間にできることは限られますが、やってはいけないことを避けるだけでも状態の悪化を防げます。

やってよいこと

  • 室温を 22〜26℃ 程度に保ち、静かな場所で休ませる
  • 水をいつでも飲める場所に置く。器を猫のそばまで持っていく
  • 体温・食事量・飲水量・排泄の有無を時刻つきでメモする
  • ぬるめの濡れタオルを首や脇にそっと当てる(嫌がるならすぐやめる)

やってはいけないこと

  • 人用の解熱剤・鎮痛剤を与える:猫にとって重い中毒を起こすおそれがあります。市販薬・処方薬を問わず、絶対に与えないでください
  • 氷や保冷剤で急激に冷やす:体の反応でかえって体温が上がったり、血流が悪化したりすることがあります
  • 無理に食べさせる・水を口に流し込む:誤嚥のおそれがあります
  • 「明日には下がるだろう」で 2 日以上放置する:猫は食べない期間が続くこと自体が別のリスクになります

費用の備え方

発熱で困るのは、受診する時点では総額が読めないことです。1 万円で終わる日もあれば、原因を追って検査が重なる日もあります。備えは 2 段構えで考えると整理しやすくなります。ひとつは、突発的な 3〜6 万円をその場で出せる手元資金。もうひとつは、入院に進んだときの 10 万〜20 万円台に備える仕組みです。後者を保険で用意する場合、補償の中身は商品ごとに異なるため 公式ページで補償内容を確認する のが確実です。生涯を通した医療費の全体像は 猫の医療費は生涯いくら? 年齢別の平均と備え方 にまとめています。

よくある質問

Q. 体温計がありません。熱があるかどうか家で判断できますか?

正確には判断できません。耳や鼻の温度、被毛の触感はいずれも室温や直前の行動に左右されるため、発熱の有無を分けられるだけの精度がありません。ただし「丸 1 日食べていない」「呼びかけへの反応が薄い」「呼吸が速い」といった変化は、体温を知らなくても受診の理由になります。数値が測れないことを理由に受診を先送りしないでください。

Q. 39.6℃ でしたが、食欲も元気もあります。すぐ病院に行くべきですか?

その日のうちに駆け込む必要は必ずしもありませんが、数時間おきに測り直し、翌診療日には受診するのが安全です。測定時に興奮していた可能性もあるため、落ち着いてから再測定してみてください。再測定でも 39.5℃ を超え続ける、あるいは食欲が落ちてきた場合は、その時点で連絡することをおすすめします。

Q. ワクチン接種の翌日に熱っぽいのですが、心配でしょうか?

接種後 1〜2 日、一時的に元気や食欲が落ちたり、軽い体温上昇が見られたりすることがあります。多くは自然に落ち着きますが、顔の腫れ・繰り返す嘔吐・ぐったりして動かないといった変化がある場合や、48 時間を超えても戻らない場合は、接種した動物病院に連絡してください。接種歴を伝えられると診察がスムーズです。

まとめ

猫の発熱を判断する第一歩は、元気なうちにその子の平熱を測っておくことです。耳の熱さや鼻の乾きでは分かりません。39.5℃ を超えたら発熱を疑い、40.0℃ 以上または 37.5℃ 未満、あるいは呼吸の異常があれば当日中に受診してください。費用は初期の診察なら 1 万円前後、検査が進むと 3〜6 万円、入院に至ると 10 万〜20 万円台が現実的なレンジです。人用の解熱剤だけは、どんな状況でも使わないでください。

※本記事は一般的な情報提供を目的としたものであり、診断・治療を目的とするものではありません。気になる症状がある場合は必ずかかりつけの動物病院にご相談ください。掲載している費用は参考レンジであり、実際の金額をお約束するものではありません。

監修:Withねこ合同会社(第一アイペット損害保険代理店)