「春は平気なのに、9 月になるとくしゃみが増える」「秋口だけ体を掻いている」——完全室内飼いなのに季節で症状が変わる場合、秋の花粉が関わっている可能性があります。日本では春のスギ・ヒノキばかりが話題になりますが、8 月下旬から 10 月にかけても別の植物の花粉が飛んでいます。しかも秋の花粉は、室内飼いの猫にとって春より厄介な性質を持っています。
| 植物 | 科 | 飛散時期 | 生えている場所 |
|---|---|---|---|
| ブタクサ | キク科 | 8 月下旬〜10 月 | 河川敷、空き地、道路脇 |
| ヨモギ | キク科 | 8 月〜10 月 | 土手、公園、庭 |
| カナムグラ | アサ科 | 8 月下旬〜10 月 | フェンス、藪 |
| イネ科(オオアワガエリ等) | イネ科 | 5 月〜10 月(秋に第 2 波) | 草地、河川敷 |
ここで押さえておきたいのが 飛散距離と粒子の大きさです。スギ花粉は数十 km 飛びますが粒子が比較的大きく、網戸である程度止まります。一方、秋の草本花粉は飛散距離こそ数百 m〜数 km と短いものの、粒子が小さく、標準的な網戸の目を通り抜けます。つまり「近所に草地があるかどうか」が室内の花粉量を大きく左右し、あるなら網戸だけでは防げないということです。
自宅の周囲 500m 以内に、河川敷・空き地・手入れされていない植え込み・草の生えたフェンスがあるかを一度確認してみてください。あるなら、この記事の対策は効きます。
人間のアレルギー性鼻炎は、くしゃみ・鼻水・目のかゆみとして出ます。猫の場合は少し様子が違い、皮膚症状として出ることが多いと言われています。観察すべきは次の場所です。
くしゃみが出る子ももちろんいます。特徴は 連続して数回出て、そのあとしばらく出ないというパターンと、透明でさらさらした鼻水です。逆に、黄色や緑がかった鼻水、片方の鼻だけから出る、食欲が落ちているという場合は花粉では説明しにくく、感染症などの別の背景を考える必要があります。この見分けは家庭では難しいので、猫のくしゃみ・鼻水が続く — 原因と治療費の目安を目安にして、当てはまるようなら受診してください。
また、この時期は ノミによるかゆみとの区別が最も難しくなります。9 月はノミの活動がピークを迎える時期でもあるためです。しっぽの付け根を集中的に掻いている場合はノミの可能性が高く、まずそちらを除外するのが順序として正しいです。残暑のノミ・マダニ対策|9月がピークで確認方法をまとめています。
草本花粉の飛散は 午前 10 時〜午後 3 時ごろに多く、特に風のある晴れた日に増えます。逆に、早朝と深夜、そして雨の日は少なくなります。
窓を開けるときは、猫の脱走に注意してください。網戸を自分で開けてしまう子もいます。9 月はまだ暑い日があり、室温管理との兼ね合いも必要です。エアコン運用の切り替えについては 9月の猫の室温管理|エアコンの切り替え時期を参考にしてください。
完全室内飼いの猫が花粉に触れる最大の経路は、人間の衣類と髪です。
特に効果が大きいのが最後の項目です。ベランダに干した布団やタオルは大量の花粉を抱えて戻ってきます。猫が寝る場所に使う布類はなおさらです。
花粉は舞い上がりやすいため、掃除の順番を間違えると逆効果になります。
ブラッシングの力加減は ブラッシングで猫の肌を傷つけない力加減にまとめています。この時期は換毛期とも重なるので、抜け毛対策と花粉除去を同時に済ませられます。
空気清浄機は、花粉を捕集する能力のある機種であれば補助になります。置き場所は 猫がよく過ごす部屋の、床に近い位置が効果的です。ただし清浄機だけで解決するものではなく、上の 1〜3 と組み合わせて初めて意味を持ちます。
季節性のかゆみやくしゃみは、多くの場合そのシーズンが終われば落ち着きます。ただし次のような状態は、放置しても改善しないので受診してください。
診察では、まずノミ・寄生虫・細菌や真菌の感染といった原因を除外していく流れになります。アレルギーは「他の原因を消していった先」で残る診断なので、初回で確定することはあまりありません。皮膚のトラブルで受診したときの検査や治療の費用感は 猫が体を掻きむしる — 原因と治療費を参考にしてください。
受診のときに役立つのが 記録です。「いつから」「どこを」「1 日に何回くらい」「屋外の草地が近いか」をメモしていくと、季節性かどうかの判断材料になります。掻いている様子を動画に撮っておくのも有効です。
使わないでください。人間用の抗ヒスタミン薬や総合感冒薬には、猫にとって重い中毒を起こす成分が含まれているものがあります。特にアセトアミノフェンは ごく少量でも猫には危険とされており、市販の風邪薬・鎮痛薬の多くに配合されています。「人間用を少しだけ」は非常に危険な発想です。同様に、人間用の目薬、皮膚用のステロイド外用薬、ハーブやアロマを使った製品も自己判断では使わないでください。猫の代謝は人間や犬と大きく異なり、安全域が狭い薬が多くあります。かゆみが強くて日常生活に支障が出ているなら、動物病院で猫に使える薬を処方してもらうのが唯一の正しい方法です。診察を受けるまでのあいだは、湿らせたタオルで拭く、部屋を清潔に保つ、爪を短く整えて傷を防ぐといった物理的な対応にとどめてください。
経路は主に 3 つあります。ひとつは 換気と網戸で、秋の草本花粉は粒子が小さいため一般的な網戸を通過します。ふたつ目は 人の衣類・髪・カバンで、外から帰ってきた人が最大の運び屋になります。みっつ目は 外干しの洗濯物・布団です。特に猫が寝床にしているブランケットやクッションを外に干していると、そこに直接花粉が付着した状態で猫が長時間顔を埋めることになります。この 3 つを塞ぐだけで室内の花粉量はかなり減らせます。優先順位をつけるなら、まず 外干しをやめる、次に 玄関で上着を払って掛ける、最後に 換気を早朝・深夜に移すという順番が、手間に対する効果が大きい並びです。
季節性がはっきりしているなら、症状が出る前に環境対策を始めるのが最も効果的です。ブタクサやヨモギは 8 月下旬から飛び始めるので、8 月中旬には外干しをやめ、換気の時間帯を切り替えておきます。「症状が出てから対策する」と、すでに室内に入り込んだ花粉と付き合うことになります。もうひとつ、記録を残しておくことをおすすめします。何月何日から症状が出て、いつ収まったかを数年分ためると、その子の反応する時期がかなり正確に分かります。同時に、その時期の症状の強さも記録しておくと、悪化しているのか安定しているのかも判断できます。また、季節性だと思っていたものが実はノミや食物由来だったというケースもあるため、一度は動物病院で原因の切り分けをしておくと、翌年以降の対策が的確になります。
秋の花粉は、春に比べて話題になりにくいぶん見落とされがちです。しかし 粒子が小さく網戸を抜けるという性質上、完全室内飼いの猫にとってはむしろ影響を受けやすい花粉と言えます。
やることは難しくありません。外干しをやめる、玄関で上着を払う、換気を早朝と夜にずらす。この 3 つを 8 月下旬から 10 月中旬まで続けるだけで、室内に持ち込まれる量はかなり減らせます。そのうえで、あご・耳の後ろ・下腹部を掻く回数を見ておいてください。傷になる前に気づけるかどうかが、この季節の分かれ目です。
監修:Withねこ合同会社(第一アイペット損害保険株式会社 代理店)
本記事は一般的な情報提供を目的としたものであり、特定の診断・治療を推奨するものではありません。猫のアレルギーの診断には動物病院での検査が必要です。皮膚や呼吸の症状が続く場合は、必ず動物病院を受診してください。