この記事の要点
「なんとなく熱っぽい気がする」を数字にできると、動物病院に電話するときの説明が一段はっきりします。猫の体温は人より高く、耳や肉球を触った印象だけでは判断できません。この記事では家庭でできる 3 通りの測り方と、それぞれの精度、そして測った数字をどう読むかを手順の形で整理します。慣れれば 1 分で終わります。
| 区分 | 目安の体温 | 備考 |
|---|---|---|
| 子猫(生後 6 か月未満) | 38.5〜39.5℃ | 成猫よりやや高め。生後間もない時期は体温調節が未熟 |
| 成猫 | 38.0〜39.0℃ | 一般的な平熱の範囲 |
| シニア猫(10 歳以上) | 37.5〜38.5℃ | やや低めに出やすい傾向 |
| 発熱を疑う | 39.5℃ 以上 | 感染・炎症・熱中症などの可能性 |
| 低体温を疑う | 37.5℃ 未満 | ショック・重度の脱水・末期の状態など。緊急度が高い |
大事なのは、その子自身の平熱を知っておくことです。同じ 38.8℃ でも、普段 38.2℃ の猫にとっては上がっている状態です。元気なときに 2〜3 回測って平均を控えておくと、異常時の判断精度が上がります。
また、測定値は状況で簡単に動きます。診察台の上で緊張しているとき、暴れた直後、暑い部屋にいた後は 0.5℃ 程度高く出ることがあります。落ち着いた状態で、できれば同じ時間帯に測るのが基本です。
動物病院で行われる方法と同じで、家庭で測れる中では最も信頼できます。ペット用の体温計、または人用の電子体温計(先端が柔らかいタイプ)を使います。
嫌がって暴れる場合は無理をしないでください。粘膜を傷つけるリスクがあり、猫にとっても体温計そのものが恐怖の対象になってしまいます。1 回で嫌がるようなら、次項の方法に切り替えるか、病院で測ってもらうほうが結果的に早いです。爪切りなど他のケアと同じで、短時間で切り上げて良い印象を残す進め方が有効です(猫の爪切り 嫌がる子への慣らし方 の考え方がそのまま応用できます)。
ペット用の耳式体温計は数秒で測れて猫の負担が小さい一方、耳道の形状や測定角度で値がぶれます。人用の耳式体温計は猫の耳道に合わないため、正確には測れません。
使うのであれば「毎回同じ方法・同じ耳」で測り、絶対値ではなく前回との差を見る使い方が現実的です。
体温計が手元にないとき、あるいは受診前の一次判断として使えます。数字は出ませんが、傾向はつかめます。
| 触る場所 | いつもより熱い | いつもより冷たい |
|---|---|---|
| 耳の付け根 | 発熱の可能性 | 低体温・末梢の循環低下の可能性 |
| 肉球 | 発熱・興奮直後 | 低体温を疑う重要なサイン |
| お腹(内股) | 発熱の可能性 | 低体温の可能性 |
| 鼻 | 参考程度 | 参考程度(乾いている=発熱、は誤解) |
「鼻が乾いていたら熱がある」は広く知られた話ですが、猫の鼻は寝起きや室内の湿度でも簡単に乾きます。単独の判断材料にはなりません。触診で見るなら、耳の付け根と肉球の 2 か所が実用的です。
体温だけで病名は分かりませんが、緊急度の判断には十分役立ちます。
夏に高体温を確認した場合は、脱水が同時に進んでいることがほとんどです。飲水量の確認や水分補給の工夫については 夏の猫の脱水サイン — 水を飲ませる工夫 にまとめています。あわせて、ぐったりして動かない状態が続くときの受診判断は 猫がぐったりして動かない — 受診の目安と治療費 も参考になります。
1 回の数値より、時系列のほうが情報量があります。次の形式でメモしておくと、診察のときにそのまま見せられます。
スマホのメモでも十分です。手書きよりも、そのまま診察室で見せられる形が実用的です。
直腸で測る用途であれば、先端が柔らかいタイプの電子体温計は使えます。ただし猫専用にして人と共用しないでください。耳式については、人用は猫の耳道の形状に合わないため正確に測れません。
やめてください。粘膜を傷つける危険があるうえ、体温計への強い拒否感が定着します。触診で明らかにおかしいと感じるなら、その情報だけで受診して構いません。病院なら数十秒で正確に測れます。
元気な状態で、日を変えて 3 回ほど。できれば同じ時間帯・同じ方法で測って平均を出しておくと、異常時の比較対象として使えます。健康診断のついでに測ってもらった値を控えておくのも良い方法です。
体温は、猫の不調を数字で捉えられる数少ない指標です。元気なうちに一度測って平熱を控えておく——それだけで、いざというときの判断がぐっと楽になります。
※本記事は一般的な情報提供を目的としたもので、診断・治療を目的としたものではありません。気になる症状がある場合は必ずかかりつけの動物病院にご相談ください。掲載している費用は参考レンジであり、実際の請求額を保証するものではありません。