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猫がおしっこを出せない — 緊急度と治療費の目安

作成者: Withねこ|26/07/25 4:03

この記事の要点

  • オス猫が「トイレに何度も行くのに尿が出ない」状態は、24時間以内に命に関わる可能性がある緊急サインです。
  • 治療費の目安は、軽度(尿検査+療法食)で15,000〜25,000円、カテーテル導尿を伴う中等度で50,000〜80,000円、入院・手術に至ると300,000〜500,000円がボリュームゾーンです。
  • 費用は「重症度」でほぼ決まります。早期受診が猫の負担と家計の負担を同時に下げる、もっとも確実な手段です。

「さっきからトイレに入ったり出たりを繰り返している」「排尿の姿勢はとるのに、砂が濡れていない」——猫の飼い主さんがもっとも見逃してはいけない症状のひとつが、この排尿困難(尿が出ない)です。とくにオス猫は尿道が細く長いため詰まりやすく、完全に閉塞すると急性腎障害を起こす可能性があります。この記事では、家庭でできる緊急度の見分け方と、重症度ごとの治療費の実データを整理します。

「尿が出ない」がなぜ猫の緊急事態なのか

猫の泌尿器トラブルは、動物病院の診療理由で常に上位に入ります。アニコム損害保険「家庭どうぶつ白書」でも、猫の泌尿器系疾患は請求件数の多い疾患群として毎年報告されています。

なかでも危険なのが、尿道が結石や栓子(けっせんし)で塞がる尿道閉塞です。尿が体外に出せなくなると、老廃物とカリウムが血液中に蓄積し、脱水・不整脈・急性腎障害へと進行する可能性があります。一般に、完全閉塞から24〜48時間が生死を分ける時間帯とされており、「明日の朝まで様子を見よう」という判断がもっとも危険です。

メス猫は尿道が太く短いため閉塞は起こりにくいものの、膀胱炎や結石による頻尿・血尿は同じように起こります。「オスではないから大丈夫」ではなく、排尿の異常はすべて受診検討のサインと考えてください。

家庭でできる緊急度チェック5項目

以下に1つでも当てはまる場合は、夜間・休日であっても救急対応をしている動物病院へ連絡することを検討してください。

  1. トイレに何度も出入りするのに、尿が出ていない(砂が固まっていない・シートが濡れていない)
  2. 排尿時に鳴く、いつもと違う声を出す
  3. 下腹部を触られるのを嫌がる、お腹が張って硬い
  4. 嘔吐している、ぐったりして反応が鈍い(尿毒症が進行している可能性)
  5. 陰部をしきりに舐め続けている

逆に、「尿は出ているが回数が多い」「少量ずつ何度も出る」「うっすら赤い」といった場合は、膀胱炎や特発性膀胱炎の可能性が考えられます。緊急性は下がりますが、放置すると閉塞に進むことがあるため、翌診療日には受診してください。

受診時に伝える情報は多いほど診断がスムーズです。最後に尿が出た時刻、トイレに入った回数、食欲・飲水量の変化、嘔吐の有無をメモしておきましょう。Withねこアプリを使っている方は、動物病院受診メモの自動生成機能で、伝えるべき情報を整理できます。

重症度別・治療費の目安【実データ】

Withねこの症状相談データベース(動物病院の診療料金実態調査および提携獣医師監修による集計)をもとにした、排尿困難・尿道閉塞の治療費レンジは以下のとおりです。

重症度主な処置内容治療費の目安(多いレンジ)全体のレンジ
軽度尿検査+尿路療法食の処方15,000〜25,000円10,000〜30,000円
中等度カテーテル導尿+点滴+抗生剤50,000〜80,000円30,000〜100,000円
重度尿閉解除処置+入院+腎機能治療150,000〜250,000円100,000〜400,000円
緊急緊急尿閉解除+会陰尿道造瘻術(PU手術)+入院300,000〜500,000円200,000〜800,000円

注目したいのは、軽度と緊急で治療費が20倍以上ひらく点です。再発を繰り返して尿道が狭くなった猫では、尿道の出口を作り直す「会陰尿道造瘻術(PU手術)」が選択されることがあり、ここが費用のピークになります。

また、10歳以上のシニア猫では腎機能の評価や併発疾患の検査が追加されるため、同じ重症度でも3割前後上振れする傾向があります。夜間・救急診療では時間外加算が別途かかる点にも注意してください。

※上記はあくまで参考レンジです。動物病院・地域・検査内容によって金額は大きく変動します。

夏こそ注意 — 脱水と尿トラブルの関係

尿石症は冬に多いというイメージがありますが、夏にも注意が必要な理由があります。エアコンの効いた室内は湿度が下がり、猫が気づかないうちに水分を失いやすくなります。飲水量が減ると尿が濃縮され、結晶ができやすい環境に傾く可能性があります。

予防として家庭でできることは次の3点です。

  • 水飲み場を増やす:部屋ごとに1か所以上、フード皿から離れた場所にも設置する
  • ウェットフードを併用する:ドライ中心の食生活は水分摂取量が不足しがちです
  • トイレを清潔に保つ:汚れたトイレは排尿を我慢する原因になります。頭数+1個が目安です

加えて、1日の尿の塊の数と大きさを記録する習慣をつけておくと、異常に早く気づけます。「昨日は3個だったのに今日は1個」という変化は、体重や食欲の変化よりも早く出るサインです。

高額になりやすいからこそ、備え方を考える

尿道閉塞は、「いつ起きるか読めない」「起きたときは高額になりやすい」「再発しやすい」という、家計にとって厄介な三拍子がそろった疾患です。実際、緊急手術に至った場合の30万〜50万円という金額は、多くのご家庭にとって即座に用意できる額ではありません。

備え方は大きく2つあります。ひとつはペット用の医療費を毎月積み立てる方法。もうひとつがペット保険で高額時のリスクに備える方法です。積立は少額の通院に強く、保険は今回のような突発的な高額治療に強い、という違いがあります。

ペット保険は補償の対象範囲・待機期間・年齢による加入条件などがプランごとに異なり、また一度発症した泌尿器疾患は加入後に補償対象外となることがあります。検討するなら「元気なうち」が原則です。最新の補償内容と条件は公式ページでご確認ください。

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よくある質問

Q1. 尿が少しでも出ていれば、様子を見て大丈夫ですか?

いいえ、安心はできません。部分的な閉塞では少量ずつ尿が漏れ出ることがあり、これを「出ている」と誤認してしまうケースがあります。排尿姿勢を何度もとる、量が明らかに少ない、鳴くといった様子があれば、尿が出ていても受診を検討してください。

Q2. 一度治れば再発しませんか?

残念ながら、猫の下部尿路疾患は再発しやすいことが知られています。療法食の継続、飲水量の確保、ストレスの軽減が再発予防の柱になります。獣医師の指示なく療法食を自己判断で中止しないでください。

Q3. 夜間の救急病院は費用がどれくらい変わりますか?

病院によりますが、時間外・救急の加算が診察料に上乗せされるのが一般的です。ただし、閉塞が疑われる状況で朝まで待つ判断は、腎機能の悪化により結果的に治療費も高額化するリスクがあります。かかりつけ病院の夜間対応先を、平常時に確認しておくことをおすすめします。

【監修】Withねこ合同会社(第一アイペット損害保険株式会社 代理店)

【出典】アニコム損害保険「家庭どうぶつ白書」/日本獣医師会「家庭飼育動物(犬・猫)の診療料金実態調査」/Withねこ症状相談データベース(2026年集計)

【免責】本記事は一般的な情報提供を目的としたものであり、特定の疾患の診断・治療方針を示すものではありません。記載の治療費はあくまで参考レンジであり、動物病院・地域・症状の重症度・検査内容によって大きく変動します。愛猫の症状について判断が必要な場合は、必ずかかりつけの獣医師にご相談ください。