この記事の要点
猫の目頭側には、まぶたとは別に「瞬膜」と呼ばれる薄い膜があります。人間には退化して残っていない器官で、目の表面を保護し、涙を目全体に行き渡らせる役割を持っています。
健康な猫でも、うとうとしている時、大あくびをした時、まぶしい光に反応した時などに一瞬出てくることがあります。この場合は数秒で引っ込むので心配ありません。
問題になるのは、覚醒していて目を開けているのに、瞬膜が目の内側 1/3 ほどを覆ったままになっている状態です。この状態が半日以上続く場合は、何らかの不調のサインである可能性があります。
大きく「目のトラブル」と「全身の不調」に分かれます。どちらかを見分ける最初の手がかりは片目か両目かです。
特に「両目の瞬膜が出ている+下痢が続いている」という組み合わせは、若い猫で報告されることのあるパターンとして知られています。目だけの問題として片付けず、便や食欲の様子も一緒に伝えられるようにしておくと診察がスムーズです。
次のいずれかに当てはまる場合は、当日〜翌日の受診をおすすめします。
逆に、瞬膜がわずかに出ているだけで、食欲・元気・排泄がいつも通りという場合は、半日〜1 日ほど様子を見て、改善しなければ受診という判断でも大きな問題になりにくい範囲です。ただし猫は痛みを隠すのが上手なので、「様子見」は必ず期限を決めて行ってください。
目のトラブルで受診した場合の費用レンジは、おおむね次のとおりです。
| 段階 | 主な内容 | 目安(円) | よくある範囲 |
|---|---|---|---|
| 軽度 | 初診料 + 点眼薬 | 3,000〜12,000 | 5,000〜8,000 |
| 中等度 | 眼科検査 + 点眼薬 + 内服薬 | 8,000〜30,000 | 12,000〜20,000 |
| 重度 | 精密検査 + 手術または長期治療 | 30,000〜150,000 | 50,000〜100,000 |
| 緊急 | 緊急の眼科手術 | 100,000〜300,000 | 150,000〜220,000 |
「眼科検査」には、角膜の傷を染色して調べるフルオレセイン染色、涙の量を測るシルマー試験、眼圧測定などが含まれます。1 項目あたり 1,000〜3,000 円程度が上乗せされるイメージです。
点眼治療は 2 週間〜1 か月続くことも珍しくなく、再診と薬の追加で合計額が伸びていきます。目のトラブルは初期に数千円で収まっても、慢性化すると通院回数がかさむのが実際のところです。
出典:日本獣医師会「家庭飼育動物(犬・猫)の診療料金実態調査」および PETPETLIFE 治療費データをもとに、Withねこが症状カテゴリ別に整理した参考レンジです。
通院が長引いたときの負担感については、猫の通院は年何回?1回あたりの費用で年単位の見通しをまとめています。慢性化しやすい目の治療に備えておきたい方は、ペット保険「うちの子」の詳細を見ることで補償の考え方を確認できます。
受診時にいちばん役に立つのは、スマートフォンで撮った目の写真です。診察室では緊張して瞬膜が引っ込んでしまうことがあるため、家でリラックスしている時の写真が診断の助けになります。
目薬を処方されたときの入れ方は猫に目薬をさすコツ|嫌がる子への5手順にまとめています。目やにが主症状の場合は猫の目やにの治療費はいくら?症状別の目安と受診の判断もご覧ください。
なお、市販の人用目薬を猫に使うのは避けてください。血管収縮剤や防腐剤が含まれるものがあり、症状を悪化させる可能性があります。生理食塩水で軽く洗い流す程度にとどめ、判断は獣医師に委ねるのが安全です。
いいえ、正常な反応です。猫は浅い眠りの時に目を半分開けたままになることがあり、その際に瞬膜が見えます。目覚めて動き出したときに数秒で引っ込むなら心配はいりません。
原因によります。角膜の傷が背景にある場合、放置すると傷が深くなり、治療が点眼だけで済まなくなる可能性があります。費用面でも軽度の 5,000〜8,000 円から中等度の 12,000〜20,000 円へと段階が上がりやすいため、早めの受診が結果的に負担を抑えます。
体質と決めつけるのは早いかもしれません。子猫では猫風邪(ウイルス性上部気道感染症)や寄生虫感染に伴って瞬膜が出ることがあります。ワクチン接種や便検査のタイミングで、獣医師に「瞬膜が出やすい」と伝えて一度みてもらうことをおすすめします。
本記事は一般的な情報提供を目的としたものであり、診断・治療の判断に代わるものではありません。気になる症状がある場合は、自己判断せず動物病院で獣医師の診察を受けてください。掲載している費用は参考レンジであり、実際の金額は動物病院・地域・重症度・検査内容によって大きく変動します。
監修:Withねこ合同会社(第一アイペット損害保険代理店)