この記事の要点
トイレ砂がうっすらピンクに染まっていた、シートに赤い染みがあった——猫の飼い主が動物病院に駆け込む理由として、血尿はとても多いものです。ただ「様子を見ていいのか、今すぐ連れて行くべきか」「行ったらいくらかかるのか」が分からず、受診をためらってしまう方も少なくありません。この記事では、猫の血尿で考えられる原因と、重症度ごとの治療費レンジを実データにもとづいて整理します。
猫の血尿の背景には、いくつかの可能性が考えられます。もっとも多いとされるのが特発性膀胱炎で、はっきりした細菌感染がないのに膀胱に炎症が起きるものです。若い猫の血尿では、この可能性が比較的高いと言われています。
ほかにも、尿石症(ストルバイト結石・シュウ酸カルシウム結石)、細菌性の膀胱炎、加齢に伴う腎臓・尿路の疾患、まれに腫瘍などが原因となる可能性があります。見た目の色だけで原因を区別することはできないため、尿検査による確認が出発点になります。
なお、猫の下部尿路疾患(FLUTD)はストレスとの関連が指摘されており、引っ越し・同居猫の増加・トイレ環境の変化などのあとに出ることもあります。
血尿そのものよりも、「おしっこが出ているかどうか」が緊急度を分けます。以下に当てはまる場合は、夜間でも救急受診を検討してください。
とくにオス猫は尿道が細く長いため、結石や栓子で尿路が完全にふさがる尿閉を起こす可能性があります。尿閉は 24 時間ほどで命に関わる状態になり得る、猫の代表的な緊急疾患です。詳しくは 猫がおしっこを出せない — 緊急度と治療費の目安 で解説しています。
Withねこの症状相談ツールが参照している治療費データベースをもとに、血尿で受診した場合の費用レンジを示します。金額はすべて税込・自己負担額の目安です。
内訳は初診料+尿検査+抗生剤などの処方。数日分の内服で改善するケースがこの範囲です。もっとも多く見られるパターンで、1 回の通院で終わることもあります。
内訳は尿検査+血液検査+腹部エコー+投薬。結石の有無や腎臓の状態を確認するため画像検査が加わると、この価格帯になります。再診が 2〜3 回必要になることもあります。
内訳は精密検査+入院+結石除去処置など。数日間の入院管理が入ると 10 万円を超えてきます。
内訳は緊急手術+入院+集中治療。尿閉を併発して会陰尿道造瘻術(PU 手術)などに至った場合が該当します。頻度は高くありませんが、起きたときの金額は突出します。
血尿で見落とされがちなのが、再発のしやすさです。特発性膀胱炎は再発を繰り返すことが知られており、療法食への切り替えが必要になれば月々の食費も上がります。
アニコム損害保険「家庭どうぶつ白書」では、猫の泌尿器系疾患は年間の請求件数で上位に入り続けています。1 回 1 万円の通院が年に 3 回あれば、それだけで 3 万円。ここに検査が加わる年があれば数万円が上乗せされます。猫の生涯医療費全体の考え方は 猫の医療費は生涯いくら? 年齢別の平均と備え方 にまとめました。
こうした「頻度は高いが単価は中程度」の出費と、「頻度は低いが数十万円」の緊急手術。両方に備える手段のひとつがペット保険です。補償内容や条件は商品ごとに異なるため、ペット保険「うちの子」の公式ページで確認するのが確実です。
動物病院での診断をスムーズにするために、次の 3 点を用意しておくと役立ちます。
A. 受診をおすすめします。血尿は出たり止まったりを繰り返すことがあり、症状が消えても原因が残っている可能性があります。とくに結石が関わっている場合、無症状の期間を挟んで悪化することがあります。
A. あります。目で見て分からない量の血が混じる「潜血」は、尿検査ではじめて分かります。頻尿やトイレでの様子がおかしいなど、色以外のサインにも注意してください。
A. 尿閉に進行してからの治療は数十万円規模になり得るため、早期受診のほうが結果的に費用を抑えられる可能性が高いです。多くの動物病院では受診前の電話で概算を教えてもらえます。また、費用面の備えとしてペット保険を検討する方法もあります(補償内容を公式ページで見る)。
本記事の治療費は、アニコム損害保険「家庭どうぶつ白書」、日本獣医師会「小動物診療料金実態調査」、および Withねこが症状相談ツール用に整備した治療費データベースをもとにした参考レンジです。動物病院は自由診療のため、地域・病院・検査内容・重症度によって金額は大きく変動します。
また本記事は特定の病気を診断・断定するものではありません。気になる症状がある場合は、自己判断せず必ずかかりつけの動物病院にご相談ください。
監修:Withねこ合同会社(第一アイペット損害保険株式会社 募集代理店)