毎年9月20日から26日は動物愛護週間です。この時期は自治体や動物病院で啓発の掲示が増えるため、迷子対策を見直すきっかけにしやすいタイミングでもあります。完全室内飼いでも脱走はゼロにはできません。ここでは、いま家にある情報のうち「猫が外に出てしまった日」に本当に役立つものを、具体的な手順として整理します。
次の5項目に答えてみてください。「はい」が3つ未満なら、見直しの余地があります。
とくに見落とされやすいのが3番です。マイクロチップ自体は一生ものですが、登録情報は放っておくと古くなります。番号から辿り着く先が使われていない電話番号では、チップの意味が半減します。引っ越しや電話番号の変更をしたら、その日のうちに更新するのが確実です。
期待と実際がずれやすい部分なので、先に整理しておきます。
| できる | できない | |
|---|---|---|
| 機能 | 専用リーダーで15桁の番号を読み取り、登録者情報に辿り着く | GPS のように 居場所を追跡すること |
| 読み取る人 | 動物病院・保健所・動物愛護センターなど | 拾ってくれた一般の方(リーダーが必要) |
| 持続性 | 電池不要で一生使える | 登録情報の自動更新 |
つまりマイクロチップは 「保護されたあとに、確実に飼い主へ戻すための仕組み」 です。逆に、保護される前の段階——ご近所の方が見つけて声をかけてくれる場面——で効くのは、外から見える 迷子札 のほうです。役割が違うので、どちらかで代替はできません。
2022年6月から、犬猫の販売業者にはマイクロチップの装着・登録が義務づけられました。ペットショップやブリーダーから迎えた猫であれば、すでに装着されているはずです。その場合に必要なのは 「自分の情報への変更登録」 で、ここが未了のまま何年も経っているケースが実際にあります。迎えたときの書類を一度確認してみてください。
迷子札に何を書くかは意外と悩むところです。実用上のポイントは3つあります。
首輪に慣れていない猫の場合は、家の中で短時間つけるところから始めます。おやつの時間だけつける、を数日続けると受け入れやすくなります。
迷子対策の本丸は、そもそも出さないことです。実際の脱走で多いのは次の3経路です。
器用な猫は、レバーハンドルのドアや引き戸を自分で開けます。開け方の癖と対策は 猫がドアや引き出しを開ける — 防ぎ方 で解説しています。
捜索は初動で決まります。順番はおおむね次のとおりです。
あわせて、保護された猫が病院に運ばれた場合に備え、マイクロチップの登録情報が最新であることをこのタイミングで確認しておくと安心です。
室内飼いこそ意味がある、という考え方が一般的です。理由は災害時です。地震や火災で避難する場面では、キャリーに入れる余裕がなく、猫が驚いて飛び出すことがあります。首輪は外れますが、マイクロチップは外れません。日常の脱走よりも、こうした非常時に効く備えとして捉えると判断しやすくなります。
動物病院で読み取り器(リーダー)をかざしてもらえば、その場で確認できます。健康診断やワクチンの機会に「チップが入っているか見てほしい」と伝えれば対応してもらえることがほとんどです。番号が読み取れたら、その15桁が環境省のデータベースで自分の情報に紐づいているかを続けて確認してください。番号はあるのに登録が前の飼い主のまま、というのがいちばん多いパターンです。
広く行われている処置で、装着後は皮下に留まって周囲の組織になじみます。ごくまれに装着部位のしこりや、チップが少し移動することが報告されていますが、いずれも頻度は高くありません。持病がある猫や高齢の猫の場合は、装着のタイミングをかかりつけの獣医師と相談して決めるのが安心です。
迷子対策で今日できることは、登録情報が最新かの確認 と 直近の全身写真を1枚撮っておくこと の2つです。どちらも数分で終わりますが、いざというときの結果を大きく変えます。
マイクロチップは「戻すための仕組み」、迷子札は「気づいてもらうための仕組み」、写真は「探すための道具」。役割の違う3つを揃えておくことが、いちばん現実的な備えになります。動物愛護週間を、その点検日にしてみてください。