この記事の要点
「まだ元気だから健診はいいかな」——猫は不調を隠すため、シニア期に入っても見た目は変わらないことがよくあります。しかし医療費のデータを見ると、支出が増え始めるタイミングははっきりしています。この記事では、年齢帯ごとに何が必要になり、いくらかかるのかを実データで整理します。
一般的に猫は 7 歳頃から中年期(シニア前期)、11 歳頃から高齢期、15 歳以降を超高齢期と区分されることが多いです。人間の年齢に換算すると、7 歳で 44 歳前後、11 歳で 60 歳前後、15 歳で 76 歳前後にあたるとされています。
重要なのは、見た目や活動量の変化より先に、血液検査の数値が動き始めることです。だからこそ健診の価値がこの時期から急に上がります。
Withねこの治療費データベースをもとに、年齢帯別の支出を整理します。
ワクチン、ノミ・ダニ予防、基本的な健康診断が中心です。健康診断は触診+尿検査で 8,000〜12,000 円、血液検査とレントゲンを加えて 20,000〜30,000 円。この時期の数値が、後年の比較対象(ベースライン)になります。
健診に甲状腺の検査や腹部エコーが加わり始めます。血液検査+エコー+心電図のシニア健診で 40,000〜60,000 円。
この時期に多いのが、体重の変化をきっかけにした受診です。体重減少で受診すると、血液検査+食事指導で 15,000〜25,000 円、甲状腺検査+エコー+内服薬まで進むと 30,000〜50,000 円 が目安になります。詳しくは 猫の体重減少が続く — 隠れた原因と検査費用の目安 にまとめました。
また歯の治療が表面化しやすい時期でもあります。全身麻酔下のスケーリングで 40,000〜60,000 円、重度の歯周炎で抜歯まで進むと 10〜18 万円。
腎臓・心臓・甲状腺のいずれかで数値の変化が見つかることが増えます。ここからの支出は形が変わり、「治して終わり」ではなく「維持していく」費用になります。
合わせると年間 10 万円前後という水準になりやすいのがこの時期です。
自宅での皮下点滴を指導されることもあり、その場合は輸液パックと針の継続購入が加わります。入院が必要になると 1 日 5,000〜15,000 円が積み上がります。食欲不振で入院・経鼻カテーテル給餌まで進むと 8〜18 万円 が目安です。
若い頃の医療費は「何もない年はゼロ、何かあった年に数万円」という形でした。シニア期はこれが逆転し、毎月一定額が出ていく形に変わります。
この違いが家計に効いてきます。年 1 回の 5 万円は貯蓄で吸収できても、月 1 万円が 5 年続けば 60 万円です。そこに突発的な入院が重なると、想定を超えることがあります。
猫の生涯医療費の全体像は 猫の医療費は生涯いくら? 年齢別の平均と備え方 で扱っています。
ペット保険を検討する場合、シニア期には 2 つの壁があります。
ひとつは新規加入の年齢上限。多くの商品には加入できる上限年齢が設定されています。もうひとつは既往症の扱いで、加入時点ですでに治療中・治療歴のある病気とその関連疾患は、補償の対象外となるのが一般的です。
つまり腎臓の数値が動いてから加入しても、腎臓の治療費はカバーされない可能性が高いということです。備えとして機能させるには健康なうちの検討が前提になります。補償の範囲や条件は商品ごとに異なりますので、ペット保険「うちの子」の公式ページで確認するのが確実です。
A. むしろ元気なうちの健診に価値があります。猫は不調を隠すため、症状が出た時点で進行しているケースが少なくありません。健康なときの数値があることで、変化に気づきやすくなります。
A. 一般に 7 歳以降は年 1 回、11 歳以降は年 2 回が目安とされます。猫の 1 年は人の 4 年前後に相当するため、年 1 回でも人間の 4 年に 1 回のペースです。
A. 商品によって加入可能な上限年齢が異なり、シニアでも加入できる場合があります。ただし既往症は対象外になるのが一般的なので、条件をよく確認してください。詳細は公式ページでご確認いただけます。
本記事の治療費は、アニコム損害保険「家庭どうぶつ白書」、日本獣医師会「小動物診療料金実態調査」、および Withねこが症状相談ツール用に整備した治療費データベースをもとにした参考レンジです。動物病院は自由診療のため、地域・病院・検査内容・重症度によって金額は大きく変動します。
また本記事は特定の病気を診断・断定するものではありません。気になる症状がある場合は、自己判断せず必ずかかりつけの動物病院にご相談ください。
監修:Withねこ合同会社(第一アイペット損害保険株式会社 募集代理店)