この記事の要点
「うちの子、去年は何回病院に行ったっけ」。そう聞かれてすぐ答えられる飼い主さんは、意外と多くありません。猫の医療費というと手術や入院の大きな金額に目が向きがちですが、実際の家計に効いてくるのは日々の通院の積み重ねのほうです。この記事では、猫の通院が年に何回くらい発生し、1 回あたりいくらかかるのかを、年齢と状況ごとに整理します。
通院は目的で 2 つに分かれます。予定を組める予防目的と、突発的に発生する体調不良の受診です。
予防目的の通院(予定できるもの)
体調不良での通院(読めないもの)
嘔吐、下痢、食欲不振、皮膚のかゆみ、口の中のトラブル ― こうした受診は、健康な成猫でも年 0〜2 回程度発生することが珍しくありません。年齢が上がるほど頻度は増えます。
これらを合わせた年間の通院回数は、おおよそ次のようなイメージになります。
| ライフステージ | 予防目的 | 体調不良(平均的な想定) | 年間合計の目安 |
|---|---|---|---|
| 子猫(〜1 歳) | 3〜5 回 | 0〜2 回 | 3〜7 回 |
| 成猫(1〜6 歳) | 1〜2 回 | 0〜2 回 | 1〜4 回 |
| シニア(7〜10 歳) | 2〜3 回 | 1〜3 回 | 3〜6 回 |
| ハイシニア(11 歳〜) | 2〜3 回 | 2〜6 回 | 4〜9 回 |
ここに慢性疾患の管理が加わると、話が変わります。詳しくは後述します。
通院 1 回の会計は、大きく 3 つの層の足し算です。
「今日はいくらになりますか」と聞きづらい場面もありますが、受付で「検査はどこまで進める想定か」を確認するだけで、会計の予想はかなり立ちます。多くの動物病院は事前の概算に応じてくれます。
目的別の 1 回あたりの費用は、次のレンジが目安になります。
| 通院の目的 | 主な内容 | 目安レンジ | よくある金額帯 |
|---|---|---|---|
| 健康診断(成猫・基本) | 触診 + 尿検査 | 5,000〜15,000 円 | 8,000〜12,000 円 |
| 健康診断(血液検査つき) | 血液検査 + 尿検査 + レントゲン | 15,000〜40,000 円 | 20,000〜30,000 円 |
| 健康診断(シニア向け) | 血液検査 + エコー + 心電図 | 30,000〜80,000 円 | 40,000〜60,000 円 |
| 体調不良・軽度(嘔吐や食欲不振) | 初診料 + 触診 + 処方 | 3,000〜15,000 円 | 5,000〜10,000 円 |
| 体調不良・検査が入る | 血液検査 + レントゲン + 皮下点滴 | 10,000〜50,000 円 | 15,000〜30,000 円 |
| 歯石除去(全身麻酔) | 麻酔 + スケーリング | 30,000〜80,000 円 | 40,000〜60,000 円 |
出典:日本獣医師会「家庭飼育動物(犬・猫)の診療料金実態調査」および PETPETLIFE 治療費データをもとに、Withねこが症状カテゴリ別に整理した参考レンジです。金額は動物病院・地域・重症度・検査内容によって大きく変動します。
上の数字を組み合わせると、年間の負担感が見えてきます。
3 つ目のケースが示すとおり、通院費の性質はある時点を境に「たまの出費」から「固定費」へ変わります。生涯を通した医療費の全体像は 猫の医療費は生涯いくら? 年齢別の平均と備え方 にまとめています。
年間の通院費が跳ねるのは、次のような場面です。
入院に至った場合の費用感は 猫の入院費用は1日いくら?日数別の目安 を参照してください。通院が続く状態にどこまで備えられるかは商品によって考え方が異なるため、検討する場合は ペット保険「うちの子」の公式ページで確認する のが確実です。
「受診を減らす」以外の方法で負担を軽くする余地は、思ったよりあります。
健康診断そのものの中身と費用の内訳は 猫の健康診断は何をいくら?費用と検査項目の目安 で詳しく扱っています。
猫の医療費に備えるとき、多くの人はまず手術や入院の大きな金額を思い浮かべます。しかし実際に家計を圧迫しやすいのは、1 回 1〜3 万円が年に何度も続く状態です。10 万円の一時的な出費よりも、月 2 万円が 3 年続くほうが総額は大きくなります。
整理すると、備えは 2 方向です。ひとつは手元資金 ― 突発的な数万円をすぐ出せる状態にしておくこと。もうひとつは長期に続く通院と、それを超える入院・手術に備える仕組みです。後者を保険で用意する場合、通院が対象になるかどうかは商品によって考え方が異なるため、必ず商品ページで確認してください。ペット保険「うちの子」の詳細を見る と、補償の範囲を実際の商品ページで確認できます。
そもそも保険という手段が自分に合っているかを考えたい方は 猫にペット保険は必要?5つの判断基準 もあわせてご覧ください。
室内飼いでも年 1 回は受けることをおすすめします。猫は不調を隠す動物で、腎臓のように機能がかなり失われるまで見た目に出にくい臓器もあります。健診の価値は「異常を見つけること」だけでなく、健康なときの数値を記録して比較の基準を作ることにもあります。前年のデータがあると、翌年のわずかな変化に気づけます。
治療の効果を確認したり、薬の副作用をチェックしたりする目的で、継続的な検査が必要になる場面は実際にあります。ただし内容と頻度に納得がいかない場合は、「この検査で何を確認するのか」「間隔を空けられるか」を率直に聞いてよいと考えてください。説明を受けたうえで判断するのは飼い主の役割です。
おすすめできません。猫は人や犬で使える成分でも重い副作用が出るものがあり、自己判断での投与は状態を悪化させるおそれがあります。また、市販薬で症状だけが一時的に和らぐと、受診が遅れて結果的に費用が増えることが少なくありません。迷う段階で電話相談だけでもしておくほうが、総額は抑えられます。
猫の通院は、健康な成猫なら年 1〜4 回、シニアになると年 3〜6 回、慢性疾患の管理が始まると月 1 回ペースへと変わります。1 回あたりは健診で 8,000〜12,000 円、検査が入る受診で 15,000〜30,000 円が目安です。大きな手術より、この「読めるようで読めない積み重ね」のほうが家計には効いてきます。まずは去年の通院回数を数えてみてください。そこが備えを設計する出発点になります。
※本記事は一般的な情報提供を目的としたものであり、診断・治療を目的とするものではありません。気になる症状がある場合は必ずかかりつけの動物病院にご相談ください。掲載している費用は参考レンジであり、実際の金額をお約束するものではありません。
監修:Withねこ合同会社(第一アイペット損害保険代理店)