この記事の要点
猫の健康チェックのなかで、いちばん情報量が多いのに見過ごされやすいのが尿です。猫はもともと砂漠の動物の系譜を引いていて濃い尿をつくる体のしくみを持ち、そのぶん腎臓と膀胱への負担がかかりやすい動物でもあります。この記事では、家庭で毎日の尿から何を読み取ればよいかを、具体的な測り方とあわせて整理します。
理由は 3 つあります。
特に注意したいのが 2 つ目です。「よく水を飲むようになった」は健康的な変化に見えますが、薄い尿がたくさん出るために、その分だけ飲まざるを得なくなっている場合があります。この見分けについては 猫の多飲多尿とは?検査・治療費の目安と受診の判断 で詳しく扱っています。
1. 量
目安は体重 1kg あたり 1 日 20〜30mL。4kg の成猫なら 80〜120mL 程度です。これを超えて増えているなら多尿、明らかに少ないなら脱水や排尿トラブルを疑う方向になります。
2. 回数
1 日 2〜4 回が一般的です。回数そのものより「回数が増えたのに 1 回の量が減った」という組み合わせが重要で、これは膀胱に刺激がある状態で見られやすいパターンです。
3. 色
色を見るときは白い砂・白いシートの上で、昼間の自然光が基本です。電球色の照明下ではすべて黄色く見え、判断を誤ります。
4. におい
普段よりツンとしたアンモニア臭が強い、あるいは逆にほとんど無臭になった ― どちらも変化として意味を持ちます。無臭に近づくのは、尿が薄まっているサインである場合があります。
「量を測る」と聞くと難しく感じますが、実際にはトイレの形式に応じたやり方があります。
固まる砂のトイレの場合
システムトイレ(すのこ+シート)の場合
いずれの方法でも、1 回きりの数値には意味がありません。1 週間続けて平均を取り、その子の基準値を作ってください。基準ができて初めて「いつもより多い・少ない」が言えるようになります。多頭飼いでトイレを共有している場合は、どの子の尿か特定できないため、可能なら期間を決めて分けて観察するか、トイレに入る様子を見守りカメラで確認する方法があります。
今すぐ(夜間救急も検討)
これは尿道が詰まっている可能性を考える状況で、特に尿道の細いオス猫では時間の猶予がありません。詳しくは 猫がおしっこを出せない — 緊急度と治療費の目安 にまとめています。
24 時間以内
数日以内に相談
診察では「いつから、どう変わったか」が診断の手がかりになります。次の 3 つが揃っていると、話が早く進みます。
採尿を頼まれた場合は、清潔なお玉やレードルで受ける、あるいは動物病院で採尿用のキットを分けてもらう方法があります。採取から時間が経つと成分が変化するため、採ってから数時間以内に持参し、それまでは冷蔵で保管するのが一般的です。可能な範囲で構いませんので、事前に病院へ確認してください。
毎日の観察全体の組み立て方は 猫の健康チェック|毎日30秒の5か所、季節による泌尿器トラブルの増減は 秋に増える猫の泌尿器トラブル|9月の水分対策 を参考にしてください。
泌尿器のトラブルは、早い段階なら尿検査と療法食で 15,000〜25,000 円程度に収まることが多い一方、詰まりを解除して入院する段階まで進むと 150,000〜250,000 円の帯に入ります。同じ病気でも、気づいた時点で桁が変わる典型的な領域です。
だからこそ、毎日 10 秒のトイレチェックが結果的にいちばん効きます。そのうえで想定を超える出費に備えるなら、ペット保険「うちの子」の詳細を見る と、補償の範囲を実際の商品ページで確認できます。
毎日きっちり量る必要はありません。現実的なのは、「尿塊の個数を数える」を毎日、「重さを量る」を週 1 回という組み合わせです。個数だけでも、回数の急な増減という重要なサインは拾えます。まずは 1 週間だけ丁寧に記録して基準を作り、そのあとは個数の確認に切り替えるやり方をおすすめします。
水分が足りていない場合、飲水量を増やす工夫で色が戻ることはあります。器を増やす、置き場所を変える、ウェットフードを足すなどが定番です。ただし濃い色が数日続く、他の変化を伴う場合は水分だけの問題ではない可能性があります。1〜2 日試して改善しなければ、動物病院に相談してください。
まず体の側を疑ってください。膀胱に不快感があると、猫はトイレそのものを痛みと結びつけて避けるようになることがあります。行動の問題として対処する前に、尿の状態を確認し、必要なら受診するのが順番です。体に問題がないと分かってから、トイレの数・砂・置き場所の見直しに進みます。
猫の尿は、体の状態がいちばん早く現れる場所のひとつです。見るのは量・回数・色・においの 4 つ。4kg の成猫なら 1 日 80〜120mL、2〜4 回が目安になります。大切なのは絶対値よりその子の基準からのずれなので、まず 1 週間だけ記録を取って基準を作ってください。そして「何度もトイレに入るのに出ていない」を見たら、その日のうちに動物病院へ。この一点だけは、覚えて帰っていただきたい判断です。
※本記事は一般的な情報提供を目的としたものであり、診断・治療を目的とするものではありません。気になる症状がある場合は必ずかかりつけの動物病院にご相談ください。掲載している費用は参考レンジであり、実際の金額をお約束するものではありません。
監修:Withねこ合同会社(第一アイペット損害保険代理店)