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デボンレックスの病気と医療費の目安

デボンレックスの病気と医療費の目安

この記事の要点

  • デボンレックスで特に知っておきたいのは 肥大型心筋症(HCM)膝蓋骨脱臼デボンレックス・ミオパチー(筋障害)、そして巻き毛ゆえの 皮膚・外耳のトラブルの 4 つです。
  • 費用の目安は、皮膚炎の通院が 1 回 5,000〜25,000 円、外耳炎が 5,000〜20,000 円、膝蓋骨脱臼の手術が 15 万〜30 万円、心筋症は診断に 20,000〜60,000 円、その後は生涯の投薬になります。
  • デボンレックスは毛が短く皮脂が毛に吸われにくいため、皮膚がベタつきやすいのが特徴です。週 1 回の耳と皮膚のチェックを習慣にするだけで、通院回数と費用はかなり変わります。

デボンレックスは、細かいウェーブのかかった短い被毛と大きな耳、いたずら好きで人によく懐く性格から「いたずら妖精」とも呼ばれる品種です。飼いやすい猫ですが、体の作りに由来する注意点がいくつかあります。品種特有のリスクと、実際にかかる医療費の目安を整理します。

デボンレックスという猫の体の特徴

1960 年代のイギリス・デボン州で見つかった巻き毛の猫が起源とされています。同じ巻き毛のコーニッシュレックスとは別の遺伝子によるもので、交配しても巻き毛にはなりません。

項目デボンレックスの特徴健康面での意味
被毛短く柔らかい巻き毛。上毛が少ない皮脂が毛に吸収されにくく、皮膚がベタつきやすい
非常に大きく、耳道が広い耳垢が溜まりやすく、外耳炎になりやすい
体格細身で筋肉質。成猫で 2.5〜4.5kgやせて見えても正常なことが多く、体重変化に気づきにくい
体温感覚被毛が薄く保温性が低い寒さに弱い。冬場の室温管理が必要
性格活発・人好き・高所好き落下や誤飲などの事故リスクがやや高い

かかりやすい病気と、その医療費

1. 皮膚のトラブル(脂漏・マラセチア性皮膚炎)

デボンレックスで最も日常的に起こりやすいのがこれです。上毛が少ないため、皮膚から出た皮脂が毛に吸われず皮膚表面に残ります。結果として、脇の下、あご、指の間、しっぽの付け根がベタついたり、酵母菌(マラセチア)が増えて赤み・かゆみ・独特のにおいが出たりします。

  • 軽症(外用薬のみ):5,000〜10,000 円(初診料+外用薬)
  • 中等症(皮膚検査+内服+薬用シャンプー):15,000〜25,000 円
  • 重症(アレルギー検査+長期治療):50,000〜100,000 円

予防としては、週 1〜2 回、蒸しタオルであごと脇を拭くだけでも違います。シャンプーは獣医師に相談したうえで、皮脂が多い子で月 1 回程度が目安です。詳しくは 猫が体を掻きむしるときの原因と治療費もあわせて確認してください。

2. 外耳炎

耳が大きく耳道が広い品種は、耳垢が溜まりやすい傾向があります。黒い耳垢、頭を振る、後ろ足で耳を掻くといったサインが出たら受診の目安です。

  • 軽症(点耳薬):5,000〜10,000 円
  • 中等症(耳道洗浄+顕微鏡検査+薬):10,000〜20,000 円
  • 慢性化した場合:月 1 回の洗浄通院で年間 60,000〜120,000 円になることも

耳掃除は「やりすぎない」のが原則です。綿棒を奥まで入れると耳垢を押し込み、かえって悪化させます。見える範囲をコットンで拭う程度にとどめてください。

3. 膝蓋骨脱臼(パテラ)

後ろ足の膝の皿がずれる状態です。デボンレックスを含む一部の品種で報告があります。歩いているときに一瞬スキップするような動き、後ろ足を上げたまま歩く、といった様子が出たら整形外科の診察を受けてください。

  • グレード 1〜2(経過観察・体重管理・鎮痛):初診と検査で 10,000〜30,000 円
  • グレード 3〜4(外科手術+入院):150,000〜300,000 円
  • 術後のリハビリ通院:1 回 3,000〜8,000 円 ×数回

予防はできませんが、体重管理と、高所からの着地の衝撃を減らす環境づくりで進行を遅らせられる可能性があります。キャットタワーの段差を細かくする、着地点にマットを敷くといった工夫が有効です。

4. 肥大型心筋症(HCM)

心臓の壁が厚くなり、血液を送り出す効率が落ちる病気です。猫全般で最も多い心臓病で、多くの純血種で注意が呼びかけられています。初期は無症状で、健康診断の聴診で心雑音が見つかって発覚することが多いのが特徴です。

  • 診断(レントゲン+心エコー+血液検査):20,000〜60,000 円
  • 投薬管理(月額):3,000〜8,000 円、年 2〜4 回の再検査で 1 回 15,000〜30,000 円
  • 急性の呼吸困難・血栓症で救急搬送:150,000〜500,000 円

怖いのは急変です。肺に水が溜まる、後ろ足に血栓が詰まって突然立てなくなる、といった形で表れます。口を開けて呼吸している、じっとしていても呼吸が速い(1 分間に 40 回以上)という場合は夜間でも受診してください。

5. デボンレックス・ミオパチー(先天性筋障害)

この品種で名前が知られている遺伝性疾患です。首が下がる、歩き方がふらつく、食べ物や水を飲み込みにくいといった症状が、生後数か月から 1 歳前後で出ることがあります。発症数は多くありませんが、繁殖に関わる遺伝性疾患として知られています。

  • 診断(神経学的検査+血液検査+画像):30,000〜80,000 円
  • 対症療法(食事形態の工夫、誤嚥防止の生活管理):継続的な通院費が発生

根本的な治療法は確立されていませんが、食事の姿勢や形状を工夫することで生活の質を保てるケースがあります。子猫を迎えるときは、ブリーダーに親猫の健康情報を確認しておくと安心です。

6. 歯周病

猫全般に多い問題ですが、細身の顔立ちで歯が密集している個体では歯石が溜まりやすくなります。3 歳以上の猫の多くに何らかの歯周トラブルがあるとされ、進行すると全身麻酔での処置が必要になります。

  • 軽症(口腔検査+抗生剤):8,000〜15,000 円
  • 全身麻酔でのスケーリング(歯石除去):40,000〜60,000 円
  • 抜歯を伴う処置+入院:100,000〜180,000 円

出典:日本獣医師会「家庭飼育動物(犬・猫)の診療料金実態調査」および PETPETLIFE 治療費データをもとに、Withねこが症状カテゴリ別に整理した参考レンジです。実際の治療費は動物病院・地域・症状の重症度・検査内容で大きく変動します。

生涯でかかる医療費のイメージ

健康なデボンレックスでも、年 1 回の健康診断とワクチン、ノミダニ予防で 年間 20,000〜40,000 円ほどはかかります。そこに品種特有のトラブルが加わると、次のようなイメージになります。

ケース年間の医療費イメージ
大きな病気なく経過(予防+健診のみ)20,000〜40,000 円
皮膚と耳のトラブルで年 3〜4 回通院50,000〜100,000 円
心筋症の投薬管理が始まった年100,000〜200,000 円
膝蓋骨脱臼の手術をした年200,000〜350,000 円

猫全体の生涯医療費の考え方は 猫の医療費は生涯いくらかかるかにまとめています。デボンレックスの場合、突発的な高額支出(手術)より、皮膚・耳・心臓といった「長く付き合う」費用が積み上がりやすい点が特徴です。

継続的な通院が前提になる病気は、一度始まると家計に効いてきます。備え方を検討する場合は、対象範囲や条件を公式ページで確認しておくとよいでしょう。ペット保険「うちの子」の詳細を見る

家でできる予防:週 1 回、5 分のチェック

  1. :耳の中に黒い耳垢がないか、においがないか。見える範囲をコットンで拭う
  2. あご・脇・指の間:ベタつき、赤み、黒いブツブツ(あごニキビ)がないか。蒸しタオルで拭く
  3. 後ろ足:歩くときに一瞬スキップしないか、後ろ足を庇っていないか
  4. 呼吸:寝ているときの呼吸数を数える。1 分間に 40 回を超えていないか
  5. 体重:月 1 回。細身の品種なので、見た目では 300g の減少に気づけません

特に 安静時の呼吸数は、心臓の状態を家庭で見られる数少ない指標です。健康なときに何回なのかを知っておくと、変化に気づけます。日々のチェック手順は 猫の健康チェック|毎日30秒の5か所も参考になります。

よくある質問

Q. デボンレックスは毛が抜けないから、アレルギーでも飼えますか?

「抜け毛が少ない」というのは事実に近いですが、「アレルギーが出ない」とは別の話です。猫アレルギーの主な原因は毛そのものではなく、唾液や皮脂に含まれるタンパク質(Fel d 1)で、これは毛づくろいを通じて毛や皮膚に付着し、部屋に広がります。デボンレックスは上毛が少ないため空気中に舞う毛は確かに少なめですが、皮脂は多い品種なので、アレルゲンの量が少ないとは限りません。アレルギー体質の方が迎えを検討する場合は、事前にブリーダーやキャッテリーで実際に長時間過ごしてみて、症状が出ないかを確認するのが確実です。空気清浄機の設置、寝室に入れない、こまめな床掃除といった環境対策も併用してください。

Q. 巻き毛のブラッシングはどうすればいいですか?

デボンレックスの被毛は細くデリケートなので、硬いスリッカーブラシは使わないでください。毛が切れたり、皮膚を傷つけたりします。基本はラバーブラシか、柔らかい獣毛ブラシ、あるいは手のひらで撫でるだけで十分です。頻度は週 1〜2 回で構いません。この品種で重要なのはブラッシングよりも 皮脂のケアです。あご、脇、指の間、しっぽの付け根を、ぬるま湯で絞ったタオルで拭くことを習慣にしてください。ベタつきが強い、黒っぽい汚れが取れない、においがするという場合は、皮膚炎が始まっているサインなので受診の対象です。力加減については 猫がブラッシングを嫌がるときの慣らし方もあわせてどうぞ。

Q. 寒がりと聞きましたが、冬は何度に設定すればいいですか?

被毛が薄く保温性が低いため、他の品種より寒さに弱いのは確かです。冬場の室温は 20〜24℃を目安にしてください。それより下がると、体を丸めて動かなくなる、飲水量が減る、暖房器具に近づきすぎて低温やけどをする、といったことが起こります。エアコンで部屋全体を暖めるのが基本ですが、留守中に切る場合は、ペットヒーター(周囲より数度暖かい程度のもの)と、猫が自分で入れる毛布やドーム型ベッドを置いて、暑ければ出られる逃げ場を作っておくのが安全です。寒くなると飲水量が落ちて泌尿器のトラブルが増えるので、水飲み場を温かい部屋に増やすことも忘れないでください。

まとめ

デボンレックスで気をつけたいのは、皮膚・耳という「日常的に手をかける部分」と、心臓・膝という「見えにくいけれど高額になる部分」の 2 系統です。前者は週 1 回のケアで通院回数を減らせますし、後者は年 1 回の健康診断で早期に見つけられます。

特に肥大型心筋症は、初期にはまったく症状が出ません。年 1 回の聴診と、家庭での安静時呼吸数のチェックを続けるだけで、発見が何年も早くなる可能性があります。医療費の総額を左右するのは、結局のところ早く気づけるかどうかです。


監修:Withねこ合同会社(第一アイペット損害保険株式会社 代理店)
本記事は一般的な情報提供を目的としたものであり、特定の診断・治療を推奨するものではありません。掲載している費用は参考レンジであり、実際の金額は動物病院・地域・猫の状態によって変動します。猫の健康について不安がある場合は、必ず動物病院を受診してください。

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