丸い顔と厚みのある被毛、抱かれるより隣に座ることを好む落ち着いた性格。ブリティッシュショートヘアは「手のかからない猫」として人気の高い品種です。実際、遺伝性疾患の数は他の純血種と比べて多いほうではありません。ただし「かかりにくい」と「かからない」は違います。この記事では、この品種で特に意識しておきたい健康リスクと、検査・治療にかかる費用の目安を整理します。
| 項目 | 目安 |
|---|---|
| 平均寿命 | 12〜15年 |
| 成猫の体重 | オス 4.5〜8.0kg/メス 3.0〜5.5kg |
| 被毛 | 短毛・密度が高いダブルコート |
| 換毛期 | 春・秋(抜け毛はかなり多い) |
| 運動量 | やや少なめ。自発的に走り回るタイプではない |
| 推奨ブラッシング | 通常期 週2〜3回/換毛期 毎日 |
「ブルー」と呼ばれる灰色の毛色が有名ですが、実際にはクリーム、シルバータビー、キャリコなど多くの色が公認されています。体はコビータイプと呼ばれるずんぐりした骨格で、筋肉より骨格の重さがあるため、見た目以上に体重があります。この体型が、後述する肥満リスクの入り口になります。
心臓の筋肉が厚くなり、内腔が狭くなることで血液を十分に送り出せなくなる病気です。猫の心臓病でもっとも多く、ブリティッシュショートヘアはメインクーンやラグドールと並んで好発品種として名前が挙がることの多い品種です。
やっかいなのは、初期にはほとんど症状が出ないこと。進行すると、じっとしているのに呼吸が速い(安静時呼吸数が1分あたり30回を超える)、後ろ足を引きずる、突然痛がって鳴く(血栓症)といった形で表面化します。聴診で心雑音が拾えないケースもあるため、確定にはエコー検査が必要です。
腎臓に液体の詰まった袋(嚢胞)が多数でき、少しずつ腎機能を奪っていく遺伝性の病気です。ペルシャ系との交配の歴史から、ブリティッシュショートヘアでも報告があります。多飲多尿や体重減少という形で中年期以降に見つかることが多く、エコー検査または遺伝子検査で確認できます。
この品種でもっとも現実的なリスクは、実は肥満です。運動量が控えめで食欲は安定しているという組み合わせは、太りやすさそのもの。肥満は糖尿病・関節炎・尿路疾患・麻酔リスクの上昇と直結し、結果的に生涯医療費を押し上げます。
純血種全般に言えることですが、3歳以上の猫の多くが何らかの歯周トラブルを抱えているとされます。顔の骨格が丸いブリティッシュショートヘアも例外ではありません。
| 年齢 | 主なチェックポイント | 推奨する検査 |
|---|---|---|
| 0〜1歳 | ワクチン、避妊去勢、体重の増え方 | 基本の健康診断 |
| 1〜6歳 | 去勢・避妊後の体重増加、歯石の付着 | 年1回の血液検査+尿検査 |
| 7〜9歳 | 安静時呼吸数、飲水量、体重の変化 | 年1回の基本検査+心エコーの検討 |
| 10歳〜 | 腎臓・甲状腺・心臓・関節 | 年1〜2回の精密検査(エコー含む) |
家でできるもっとも有用なチェックが安静時呼吸数(睡眠中の1分あたりの胸の上下回数)です。健康な猫は15〜30回。眠っている愛猫の胸の動きを30秒数えて2倍する、それだけです。これが継続的に30回を超えるようなら、心臓や呼吸器の評価が必要なサインになります。
以下は当社が症状カテゴリ別に整理した参考レンジです。
| 内容 | 費用レンジ | よくある価格帯 |
|---|---|---|
| 基本の健康診断(触診+尿検査) | 5,000〜15,000円 | 8,000〜12,000円 |
| 年1回の標準検査(血液+尿+レントゲン) | 15,000〜40,000円 | 20,000〜30,000円 |
| シニア精密検査(血液+エコー+心電図) | 30,000〜80,000円 | 40,000〜60,000円 |
| 呼吸器症状の初期対応(検査+内服) | 5,000〜20,000円 | 8,000〜15,000円 |
| 呼吸器症状・中等度(レントゲン+点滴+投薬) | 20,000〜80,000円 | 30,000〜60,000円 |
| 呼吸器症状・重度(酸素室+入院) | 80,000〜300,000円 | 120,000〜200,000円 |
| 歯石除去(全身麻酔下スケーリング) | 30,000〜80,000円 | 40,000〜60,000円 |
| 全抜歯手術+入院 | 60,000〜250,000円 | 100,000〜180,000円 |
心臓病が見つかった場合、多くは内服薬による生涯管理に入ります。薬代が月3,000〜8,000円、3〜6か月ごとの心エコーによる再評価が1回15,000〜30,000円といった構成になり、これが年単位で続きます。単発の手術費より、この積み上がりのほうが家計への影響は大きくなりがちです。
出典:日本獣医師会「家庭飼育動物(犬・猫)の診療料金実態調査」および PETPETLIFE 治療費データをもとに、Withねこが症状カテゴリ別に整理した参考レンジです。実際の金額は動物病院・地域・重症度・検査内容によって大きく変動します。
慢性疾患の管理が続く前提で家計を組むなら、加入条件が緩やかな若いうちに補償を検討しておくのが一般的です。ペット保険「うちの子」の詳細を見る
他の品種のリスク傾向と比べたい方は、スコティッシュフォールドの病気と医療費やアメリカンショートヘアの病気と医療費もあわせてご覧ください。
両親の遺伝子検査が陰性であれば、この遺伝性疾患のリスクはかなり低いと考えられます。ただし腎臓の病気は多発性嚢胞腎だけではなく、加齢に伴う慢性腎臓病は品種を問わず起こります。年1回の尿検査と血液検査は、陰性証明があっても続ける価値があります。
症状がなければ7歳前後の健康診断に合わせて1回入れる、という進め方が現実的です。ただし親兄弟に心筋症の既往がある、健康診断で心雑音を指摘された、安静時呼吸数が高い、といった要素があれば、若齢でも早めに受ける意味があります。判断はかかりつけの獣医師とご相談ください。
ブリティッシュショートヘアは毛が短いだけで、下毛(アンダーコート)が非常に密なダブルコートだからです。毛の1本あたりは短くても総量が多いため、換毛期の抜け毛は長毛種に匹敵します。春と秋は毎日のブラッシングで抜けた下毛を回収すると、毛玉の吐き戻しや部屋の毛の量が目に見えて減ります。
監修:Withねこ合同会社(第一アイペット損害保険代理店)
本記事は一般的な情報提供を目的としたものであり、獣医学的な診断・治療を目的とするものではありません。品種による疾患の傾向はあくまで統計的な傾向であり、すべての個体に当てはまるものではありません。記載した費用は参考レンジで、実際の金額は動物病院・地域・症状の程度によって大きく異なります。気になる症状がある場合は、必ずかかりつけの動物病院にご相談ください。